2013年04月27日

江戸川乱歩著 蜘蛛男

蜘蛛男 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

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江戸川乱歩著 蜘蛛男

これはね〜乱歩初期の傑作長編なのよ。
乱歩の本格推理小説への理想と、それを受け入れる土台が当時の大衆にはまだなかった為に苦しんだ乱歩。

以後、乱歩は、いい意味で開き直り、『通俗小説』を書き続けた。
それが、本作、蜘蛛男以降の、乱歩独特のエロ・グロ・猟奇・怪奇世界を生み出すことになるのね。

あらすじはこちらから読んで頂くわね。
ちなみに上記のサイト「蜘蛛男」評は素晴らしいわ。



凄いわね、この畔柳(くろやなぎ)博士という探偵、いや、蜘蛛男。
ここまで自分の趣味を貫き通せた生き方ができるなんて(苦笑)。

と、いうか自分が悪党であることを自覚し恥じず、それを誇りにすら思うほどの奴なんてそうはいないわね

(あぁ、良い子のみんなは決してマネしちゃダメよ)。
ある意味あっぱれだわ(苦笑)。



まあ、推理小説好きの人なら、本書の三分の一を読んだ段階で、探偵である畔柳博士=真犯人であることはすぐに分かると思うわ。

ただ、当時としては斬新なアイデアで、本編の初期に、「日本のシャーロック・ホームズ」ともいえる著名な探偵、畔柳博士という紹介で登場させたり、助手の青年に新聞から事件となるような記事の見つけ方(実は畔柳博士自身の犯行だが……笑)をレクチャーしたりして、読者をあざむく、伏線を乱歩は張りまくったのよ。

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で、その犯行なんだけれど、自分の好みの女性を獲得するためだけに、美術商をうたい、女事務員募集をかけ、該当する女性を拉致監禁し、強姦殺人を行う。

その後、今度は男性職員募集をかけ、女性の石膏像(被害者の遺体を切断し石膏を塗る)を、美術学校などに配る。

被害者の姉である女性が、妹の失踪を心配し、事件の依頼のため畔柳博士の探偵事務所に来ると、その姉も殺し、遺体を水族館の水槽に投げ込む。



表向きは探偵として、警察と協力して捜査にたずさわり、何度も失敗をしている畔柳博士の前に、外国から帰国直後の明智小五郎が登場する。
そして事件の詳細を知るやいなや、畔柳博士こそ犯人だと看破する(警察ぼんくらすぎ……笑)。



正体を暴露されるも、何とか逃亡し、その後、姉妹に酷似した人気女優に目をつける(好みの顔の追求に余念がない……笑)。
何度も明智に犯行を阻まれ、あと一歩で逮捕というところで、持ち前の悪知恵とクソ度胸と悪運で、女優を殺害の上、逃亡。



その、逃亡方法なんだけれど、僅差で追われている最中にあえて、もよりの交番に突撃し、交番の巡査を縛り上げ、制服を着、巡査になりすまし、追跡者の警察の目をあざむく。
そして、自分の顔に硫酸をかけ、相貌を崩すという徹底性。



でも、蜘蛛男には、生涯をかけた『大事業』があるのね。
それを達成するために彼は生きてきたのよ。
それは、自分の好みの顔の女性たち49人を拉致監禁し、毒ガスによる死に様を楽しむ、パノラマ館をつくるということ(ここまでやるか……苦笑)。



畔柳博士の事務所に残っていた手がかりをもとに、明智はその野望(狂望)を、寸前で阻む。
明智と警察に包囲された、蜘蛛男は、自分でつくったパノラマ館の剣の山の上に、投身自殺をした……。



……う〜ん。何かね、読んでいて、推理探偵小説というよりは、サイコサスペンス小説のような感じだったわね(苦笑)。

真犯人を暴くことよりも、犯人の人物像や、犯人の好みの女性の描写、犯行過程を詳細に描いているのね。
あとは犯人の心理描写をもっと描けば、江戸川乱歩版「羊たちの沈黙」だったのに(笑)……。



それはさておき、今回の明智は、鋭いようでいて鈍い、鈍いようでいて間一髪で、犯人の最後の野望を阻む執念の捜査をやるのよ。
それも見所の一つね。

と、いうか明智が登場するのが、三分の二以上過ぎてからなのよ(遅すぎだって……笑)。
もうね〜、蜘蛛男の完全犯罪成立まで、行くか?乱歩、そこまでぶっちぎれるかと、期待半分、心配半分だったわよ(苦笑)。



……大衆通俗小説を書き続けることを決意した、江戸川乱歩の腹のくくり具合を堪能していただける良い作品だと思うわ。

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posted by 空海 at 22:50| Comment(0) | 読書 感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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